色白と日本人の肌

もともと私たち日本人は白人と黒人の中間の肌色で、日焼けによって黒くなりやすいという肌の性質を持っています。

この色は肌の中にあるメラニン色素の量が影響しています。

メラニン色素を作るメラノサイト(あるいは色素細胞とも呼ばれます)という細胞が、太陽光に含まれる紫外線の作用で働きが活発になり、メラニン色素を肌の中で大量に作り出す結果が反映されたものです。

人によって肌色が違うのも、このメラニン色素が関係しており、肌が黒い人はメラニン色素が多く、肌が白い人はメラニン色素が少ないためなのです。

ただし、メラニン色素の作られやすさには個人差が大きく、日焼けしても赤くなるだけでほとんどメラニン色素が作られない人もいれば、赤くならずにすぐに黒くなる人もいます。

前者の人たちは生まれついての色白の肌の持ち主です。

多くの日本人は、日焼けすると、メラニン色素が増えて肌は黒くなりますが、しばらくすると元の色に戻ります。

しかし、繰り返し紫外線を浴びると、もとの色に戻らず、部分的にメラニン色素が増えてしまって斑状の色素沈着になってしまいます。

これがシミで、医学的には日光性色素斑と呼ばれています。

日焼けしても、メラニン色色白文化素が均一に増えたり減ったりすればよいのですが、部分的に色が残って、斑状になることで汚く見え、それが美容的に問題になるのです。

紫外線の影響とシミ

今までのことを読んでくると、メラニン色素は悪者のように感じられるかもしれませんが、実はメラニン色素は、紫外線を吸収する働きがあり、私たちの体を紫外線の悪影響から守る大切な働きをしています。

このため、肌が紫外線にさらされると、肌を守らなければとメラニン色素がたくさん作られるのです。

紫外線は皮膚癌の原因にもなりますが、肌色の違いによってなりやすさは異なり、メラニン色素の少ない白人は皮膚癌になりやすく、ある程度のメラニン色素を持つ私たち日本人は、白人に比べるとそれほど皮膚癌の発生は多くありません。

むしろ、私たち日本人にとってはメラニン色素が原因でシミができることが美容的に大きな問題なのです。

昔の人々は紫外線を効果的に防ぐ方法もなく、色黒の肌が普通だったと考えられます。

ただし、まったく日焼けに対する意識がなかったわけではないでしょう。

長く日光に当たれば、肌が赤くなる、いわゆるサンバーンと呼ばれるやけどの状態と、その後黒くなる、サンタンと呼ばれる色素沈着が生じることは、経験的に知り得たはずです。

長く外にいる時は、ひどいやけどのような状態になって、ひりひりと痛みを感じた人もいたはずです。

また、衣服に隠れているところは色が白く、顔や手などの日光に当たる所は色が黒くなっていることは、容易に知り得たはずです。

このため、日光を防ごうとする意識は古くから存在し、平安時代の絵巻物に、従者が貴族と思われる御主人に長い柄の傘をさしかけている絵を見ることができます。

また、旅姿にも、古くから官笠はっきものになっています。

ただし、菅笠や布などで顔を被っただけで紫外線を防ぐことには限界があり、どうしても紫外線を浴びてしまって、肌の色が黒くなることは避けられなかったでしょう。

現代のファンデーションなどに含まれる紛体には、紫外線を散乱させて防ぐ効果があります。

白粉のような紛体も、肌の上に塗った時に同様な効果があったと考えられます。

地肌が隠れるくらいの効果があれば、紫外線を散乱させる効果はさらに大きいものがあったでしょう。

このため、白粉を塗ると日焼けを防ぐことができるのは、薄々感じていたのではないでしょうか。

化粧で意識的に紫外線を防ぐという発想はごく最近のことであり、一九五四年に、資生堂から初めての日焼け止め化粧品が発売されています。